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14.小さな大冒険

某ファーストフード店にいったときのお話です。レジの順番待ちをしていたら私の前に小さな女の子が並んでいました。白いきれいなコートを着て、黒いブーツを履いた女の子で、年齢は5歳前後だと思います。お母さんはどこにいるのかと見回しても、近くにそれらしき方はいらっしゃいません。1人でお使いに来たのでしょう。
女の子の順番が来ました。身長が低いためレジに背が届きません。背伸びをしてスタッフのお姉さんに注文をしているので、「手伝おうか?」と、声をかけたところ、「大丈夫です!今日は1人でお使いに来たので、きちんと1人でやります。」と、応えてくれました。スタッフも目線を合わせるようにかがんで、大人の女性客に話しているようでした。
お金をテーブルに置き、ハンバーガーが袋に詰められている状態を女の子は緊張しながら見ていました。きっと自宅から握り締めてきたのでしょう。くしゃくしゃになったお札から女の子の緊張が感じられました。
ハンバーガーを受け取って、おつりをポケットに入れると、「ありがとう!」とスタッフと私にお礼を言って何度も何度も袋の中を見ながら、戻っていきました。
ふと見ると、お店の前にお母さんらしい女性が会釈をしていました。ちょっぴり幸せに感じる瞬間でした。きっと女の子にとって、この日は忘れられない思い出になることでしょう。